今、一番訪れたい場所。

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サグラダファミリア教会(バルセロナ・スペイン)

今、一番訪れてみたい国。スペイン。そしてスペインを代表する都市バルセロナに浮かぶ巨大な彫刻芸術サグラダファミリア。1882年に着工してから約2半世紀、いまだ建築が続けられている。多くの人々の手によりその歴史が刻み込まれてきた建物は、いったい何のために今もその増築を続けるのだろうか?

その協会で数多くの人々がささげてきた祈り。その祈りを天に届かせるかのように高々と聳え立つ巨塔。そして教会の中に立ちいる色とりどりのステンドグラスから差し込む光と影。その場所に立つ人々の中に湧き上がる体感や想いはどんなものなのか?僕はその場所に立ち何を祈るのか? そんな想いがだんだんと膨らんでいる。 そしてスペインに惹かれるもうひとつの理由が、フラメンコに代表されるギター音楽。哀愁深いメロディーと独特なリズムは僕の心をとらえてはなさない。

今から15年前、僕は同じように旅をしたい衝動に動かされフランスの首都、パリとその北の最果てに立つモンサンミッシェルを訪れた。きっかけはルーブル美術館に展示されている「モナ・リザ」の絵画の本物をこの目で見たいと思ったから。作者であるレオナルドダヴィンチが歴史的にも有名な巨匠であったとしてもこの1枚の絵画に多くの人が魅了され、そこに潜む謎について現在まで語り継がれているのは何故なのか。1974年にあったモナリザ日本公開の騒動もあって絵画に興味が無くてもなんとなくその存在を知っていたがその興味に火をつけたのが、ダン・ブラウンが発表したミステリー小説「ダビンチコード」との出会いだった。この小説の面白さはイエスキリストにまつわる禁断の秘密をルーブル美術館でおきた殺人事件の謎とともに大胆な推理で解明していくところにある。また小説が各登場人物の目線で交互に代わる代わるように展開していくというアメリカドラマ特有の流れで書かれているところが、僕にとってはとても新鮮で、これまでにあじわったことのない展開に夢中にさせられてしまった。

そしてその本を読み終えたときルーブル美術館で本物のモナリザを見たいという夢は僕の第一優先になった。

日本から狭いシートに縛り付けられて約12時間、パリの玄関口シャルルドゴール空港に降りたときは疲労と時差ボケ、そしてこのような本格的な海外旅行は初めてとあっての不安と緊張が重なり僕の精神状態はけっして楽しいというものではなかった。空港からバスでパリの中心街へ入っていく。ヨーロッパ独特の雰囲気をもった街並みとそこに点在する数々の歴史的建造物。何もかもが1枚の絵画になりそうな雰囲気に別世界にもぐりこんだような錯覚を感じた。そう、ここは外国。こんな離れた場所でも人間という生き物が別世界でおなじような生活を営んでいる。外国人の自分を始めて意識した時だった。

そしてホテルに到着。利便性を重視してなるべく中心街近くの小さなホテルを選んだ。部屋は狭いがフランスらしい家具のデザインに満足。一番リラックスできたのは朝食の時間。小さなスペースに用意された場所でパンとコーヒーの簡単な食事がついていたが、そのパンが最高においしく感じた。自分達の部屋からその場所に降りて「ボンジュール」と朝のあいさつをかわす。日本人の団体客がいないので、外国の雰囲気をたっぷり味わうことができた。目的のルーブル美術館へはホテルから歩いて20分。結構遠い距離だが普段とちがう雰囲気を楽しみながら目的地へ向かった。次第に見えてきた巨大な建造物。こんな大きな美術館は見た事が無い。ダビンチコードの世界がこの中にあると思うと胸がドキドキしてきた。

中に入り最初に驚いたのは数メートルはある巨大な壁画と高い天井にも描かれた絵画の数々。その迫力と浮き上がってくるように細部まで描かれた絵は長い時空をこえて僕の目に迫ってきた。

人ごみのなかを進み、徐々にモナリザの前に近づいていく。まさにあの神秘的な表情、静かな微笑みと彼女の背中に続いていく不思議な背景、迷宮の中へ誘い込まれるような感覚を覚えた。長い時間を超えて目の前にしたモナリザ。僕の中にあった空想と現実。本物が放つその光が僕の描いていた空想を吹き飛ばしその真実を訴えかけてくる。普段、絵画を見にいくことなどなかった自分にその素晴らしさと興味深さを十分に教えてくれた。時がたつたびにもう一度訪れたくなるような体験だった。

ひとつの興味や好奇心が夢となって僕をその場所へ連れていってくれる。そんなことがまた起こるだろうか? 僕は再びダン・ブラウンの「オリジン」という新作を読み始めた。ここで描かれている舞台。それはスペイン。この本といっしょに僕はスペインの各所を飛び回り、夢からそれを実現する扉を開けるだろう。