寄り道の風景

韮崎から静岡方面へ向かう街道沿いにある道の駅。車を止めて木陰に設置されたベンチで休憩をとる。ひとりの時間を持て余さないように入れておいた本をカバンから取り出した。梅雨らしい曇り空ながらそよいでくる風が気持ちよい。まわりの山々からあふれだす自然な香りを深呼吸して手にした本を読みはじめた。最近始めた図書館通いでこれまで読んだことがなかった村上春樹の「海辺のカフカ」「ノルウェーの森」の上下巻4冊を借りた。先の海辺のカフカは読み終え、ノルウェーの森も終盤を残すのみだった。外の空気感が、なんとなくこの物語の雰囲気にあっているように感じられ、いつもより本の世界に集中することができた。僕はこの小説にでてくるギターが上手なレイコという女性が好きだ。本から音を聞き取ることはできないが僕はボサノバ調にアレンジされたビートルズのメロディーを勝手に想像しながら彼女が弾くギターを聞いていた。最後まで読み切って腕に付けた時計をみると約1時間が過ぎていた。本の世界から戻り自分がいる場所を確認したら空がすこし明るく見えた。今日はちょっとした寄り道だったけど、今度はもっと深い森の中でこの本を読んでみたいと思った。(終わり)