群れからはぐれた狼の話

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忙しかった日々を終えて朝のジョギングに向かう。前方に2匹のかわいい子犬を連れた男性の影。どちらかというと僕は犬は苦手だ。ペットを飼った事がないので犬とじゃれ合うという事をやったことが無い。いつ吠えられるかもしれないという警戒心を持ちながら、飼い主の男性に挨拶をし、足早に追い越していった。となりに住んでいるポチは僕の顔を見慣れたせいか、ようやく僕に向かって吠えなくなった。人といっしょに生活するようになった犬。人と犬との交流は長い時の流れの中でどのように深まっていったのであろう。歩きながらTVで最近見た、犬の祖先とされるオオカミの話を思い出した。

はるか昔、まだ人間が狩猟を始めたころ、この世の中に現在のような人間といっしょに生活する犬のような動物は存在しなかった。わずかな農作物を食べていた人間にとって大きな肉食獣の食べ残しはめったにないご馳走だったが、それを背後から狙う獣がいた。その代表が狼だ。人間と狼はご馳走を取り合うライバルでいつも争っていた。群れで生活する狼の中で、チカラもなくおとなしい狼は食事にありつけることができずに群れから取り残されてしまう。そんなおとなしく弱い狼が生きるために選んだ場所が人間のいる村だった。人間に近寄って人間の食べこぼしを拾うようになった狼。最初は警戒し、追い払っていた人間もその一方で狼が自分達の作物を狙ってやってくる小動物を追い払うのに役立つ事を知ると人間も村にやってきたおとなしい類の狼を受け入れるようになった。そして同じようなおとなしい狼同士が種を次の世代につなげることでその本能は次第に変化し、現在、人間に飼われているような犬という種が生まれたという。人間と暮らすことを選択した犬たちはやがて人間が要求することを理解し、人間を喜ばせる行動を行うまでに進化した。群れからはぐれて行きつく場所なく死んだ狼も多くいたはずだ。人間との生活に順応できたごくまれな狼から犬への進化は始まったという。

今では人と犬は深い絆で結ばれ、互いになくてはならない存在になった。今日は休日。となりのポチはいつものように木陰に寝そべりながらのんびりと過ごしている。さあ、ごはんを食べよう。(終わり)